小説:古王国記サブリエル

オーストラリアのベストセラー作家ガースニクス氏の代表作の一つ。

古王国を舞台とする3部作。サブリエルはその第1作。魔術の存在する世界において、ネクロマンサーの家系に生まれた少女サブリエル。父はアブホーセンと呼ばれるネクロマンサーで死霊達が冥界から現世に出てこないようにしたり、現世の平和・秩序を守る役目を果たしている(たぶん)。

この世界では、人は死んだとしても、冥界の9つの門をくぐり抜けない限りは完全な死には至らない。現世に身体が残っていれば、(死霊等の形でも)戻ることが可能。第4門あたりを超えると生き返るのは難しい様子。

また、死霊達がでる古王国の隣にある国は、自動車や銃もある、そこそこ近代的な国であり、サブリエルは安全面などからその国の女学校で育ったお嬢さんという設定。

ある日、父が来るはずの日に、父の魔術によってつくられた使いのみが来たことをきっかけに、父の身に何かトラブルが起きたことを察知したサブリエルは古王国に渡って父を捜す冒険を始める。

途中、ちょいちょい不要もしくは唐突すぎるロマンスが挟まれるが、テンポよく、物語は進んで行く。ゲームオブスローンズやハリーポッター、ソウルリヴァイヴァー等の設定がそれぞれちりばめられているような印象。ソブリエル自身は、人間性がもう少し増した掟上今日子というイメージ。

女性主人公に、魔法ファンタジー、よくつくり込まれた世界観などは映像化もできそうだし、ヒットしてもおかしくないと思うが、何かパッとしない点はあるのだろうか。それとも、クリエイターとの巡り合わせやタイミングが良くなかったのだろうか。